「ぽっかぽか」第57話
「こどもの国」

――こども同士のつきあい方の不思議…。――
(YOU掲載時の表紙リード)

オリジナル初出 YOU 2003年4月15日号・No.8/2003年4月1日発売
単行本収録 コミックス第13巻、文庫未収録

(2003/04/03)

今回のテーマは「けんか」です。折りしも国と国とが争いをしているさなかにこのお話は発表されました。深見先生も何か思うところがあったのでしょうか。まったく無関係ではないような気がします。
このお話は、深見先生のごく自然な「反戦メッセージ」なんだろうな、と思いながら読んでいました。

話の展開は、子どもたちのけんかと、上司と部下の板挟みになる慶彦のエピソードが重ねられています。慶彦は吉田さんのパーティーに参加して、子どもたちがけんかをしながらも、折り合いをつけながら仲直りしていく姿に人間関係の本質を見出し、それをもとに上司と部下との関係をうまく取り持つことに成功する、というあらすじです。

この流れだけを取り出せば、いかにもマンガっぽくて現実はそううまく行くはずないな、とも思えてしまうのですが、このお話で大切なのは、吉田さんのご主人のように子どもの日常から学ぶ姿勢を持てるかどうか、という点ですね。
お子さんをお持ちの方ならおそらく誰でも思い当たるのではないでしょうか。いや、思い当たらなければいけないのだと思います。
いったい今の大人たちのどれだけが、吉田さんのご主人のように子どもたちを観察することができるでしょうか? 単ににぎやかに騒いでいるだけにしか見えない人がほとんどではないか、と思うのです。


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