「ぽっかぽか」第55話
「秘密のオルゴール」

――大人になると忘れてしまう、子どもの心の中には何がある――?
(YOU掲載時の口絵リード)

オリジナル初出 YOU 2002年8月15日号・No.16/2002年8月1日発売
単行本収録 コミックス第13巻、文庫未収録

(2002/12/13)

8月に掲載後、レビューが遅れていましたが、この話からコミックス・文庫どちらも未収録のお話です。今の連載ペースで行くと、この話がコミックスで発売されるのは今から一年後の2003年末頃、文庫となるとさらに半年後の2004年半ば以降だと思います。気が遠くなりそうですが、このペースで15年続いてきたんですよね。

この「秘密のオルゴール」はファンタジーと絵本、そしてお弁当がテーマです。意外なことに麻美があすかに絵本を読んで聞かせるシーンって今までほとんどありませんでした。
わたしの娘は絵本大好きで、毎日寝る前に最低一冊は読み聞かせないと寝てくれません。(^^;) また、娘の通う保育園はシュタイナー教育の実践園で、子どもたちにいたずらに知識を教えず、ファンタジーの世界に思う存分ひたらせてあげることを重視している園です。ちょうどこの話の中でみどりちゃんのお母さんが話している世界はまさにそのもので、そんなわけで個人的にも楽しみなテーマでした。

でも後半のストーリーはお弁当の話が中心で、結局ファンタジーは最後に「お弁当をおいしくする魔法」(^^;)という形でまとめられていました。慶彦の「離れていても同じ食卓を囲んでいるようで」という言葉は確かに印象的なのですが、深見先生が「ぽっかぽか」の中でファンタジーをどう扱うのか、ちょっと期待しすぎていたかも知れません。
麻美は何のこだわりも知識もないキャラクターとして設定されていて、その枠を決して越えないように描かれています。麻美にはファンタジーを語らせるより、「アクション派ですね」とお笑いキャラに持っていってしまうほうが先生としては楽なのでしょうね。
麻美のその「無色透明さ」が15年の長期連載を支えてきたのかな、と思うと致し方ないですかね。


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